
「最前線に行けば血まみれになりますよ!」
この言葉が国会の議場に響いた瞬間、わたしは耳を疑った。
2月26日、参院本会議での代表質問。
れいわ新選組の奥田芙美代共同代表が高市早苗首相に向けて放った言葉である。
まるで日本がいますぐにでも戦争を始めるかのような口ぶり。
いったいこの人はどんな世界線で生きているのだろうか。
奥田氏は就任したばかりの共同代表として初めての代表質問に臨んだ。
持ち時間はわずか10分ほど
その短い時間で、彼女は「徴兵制」「戦争へなだれ込んだ80年前」「血を流す覚悟」といった刺激的な言葉を次々と並べ立てた。
「防衛費増大ばかりを煽り国民を騙さないでください!武器より、お米!」とも叫んでいる。
現実を見ない「反戦」という名のポピュリズム
正直なところ、この質問を聞いていて、わたしは深いため息が出た。
いま日本を取り巻く安全保障環境は、かつてないほど厳しい。
中国は軍事力を急速に増強し、台湾海峡では緊張が高まっている。
北朝鮮は核・ミサイル開発を続け、ロシアはウクライナ侵攻で国際秩序を揺るがしている。
こうした現実を前に、防衛力の強化は避けて通れない課題だ。
にもかかわらず、奥田氏の質問には、こうした国際情勢への認識がまったく見えない。
まるで日本が好き好んで戦争を始めようとしているかのような論調。
「誰に血を流させる覚悟なのか」という問いかけも、そもそも前提がおかしい。
日本は専守防衛の国である。
他国に攻め込むことを想定した軍備ではなく、あくまで「攻められたときに守る」ための備えを整えているにすぎない。
防衛費の増額は、抑止力を高めて戦争を未然に防ぐためのもの。
この基本的な事実を、奥田氏は理解しているのだろうか。
高市首相は答弁で「国民のみなさまのリスクを下げるため、自衛隊は自らリスクを負います」「あらゆる手段を用いてリスクの低減を図るのが政治の役割であり、私の戦いです」と明確に述べた。
防衛力強化によって相手に攻撃を「思いとどまらせる」ことが、国民の生命と平和な暮らしを守ることにつながる。
これこそが抑止論の基本であり、きわめて現実的な安全保障政策だ。
感情に訴えるだけでは国は守れない
「総理、みんなお母さんから生まれたんですよ」
「母親はね、子どもを戦争に行かせるために子ども産んだんじゃないんだよ」
奥田氏のこの発言は、たしかに心に響く部分もある。
誰だって戦争は嫌だし、大切な人を失いたくない。
その思いは、わたしも同じである。
しかし、感情に訴えるだけで国が守れるなら、こんなに楽なことはない。
現実には、こちらが望まなくても戦争に巻き込まれる可能性はある。
ウクライナの人々は、平和を望んでいなかっただろうか。
彼らの多くは、まさか自分たちの国が侵略されるなどとは思っていなかったはずだ。
備えがなければ、いざというとき国民を守れない。
だからこそ、平時から防衛力を整え、同盟関係を強化しておく必要がある。
これは「戦争をしたい」からではなく、「戦争をさせない」ためなのだ。
奥田氏の質問には、こうした視点が決定的に欠けている。
「武器より、お米!」というスローガンは耳ざわりがいい。
けれど、食料安全保障と防衛力強化は二者択一の問題ではない。
どちらも国の存立にとって重要な課題であり、両立させていくべきもの。
わかりやすい対立構図を作って煽るのは、政治家として誠実な態度とは言えないだろう。
質問終了後、「不穏当な言辞があれば議長において適切に措置する」との発表があったという。
国会という場で根拠のない戦争煽動や徴兵制への言及を繰り返すことの問題性をれいわ新選組は自覚すべきだ。
日本国民は、感情論や扇動に流されてはいけない。
日本を守るために何が必要なのか。
冷静に現実を見据えて考えていくことこそが
主権者としての責任ではないだろうか。
本気で子どもたちの未来を守りたいなら妄想ではなく現実と向き合うべきだ。




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