
現職の総理大臣の名前を勝手に使って仮想通貨を発行する
こんな信じがたい出来事が、この日本で起きてしまった。
2月25日、連続起業家の溝口勇児氏がYouTube番組で「SANAE TOKEN」なる仮想通貨の発行を発表した。
高市早苗総理の名前を冠したこのトークンは、Solanaブロックチェーン上で発行されたミームコイン。
発行初日には時価総額が約45億円に達したという。
ところが3月2日、高市総理本人がXで異例の注意喚起を行った。
「私は全く存じ上げません」「承認を与えさせて頂いたこともございません」と一切の関与を明確に否定。
この発言を受けてトークン価格は約75%も暴落した。
いったい何が起きていたのか?
なぜこんな事態が許されてしまったのか?
「コミュニケーションを取っている」という曖昧な言葉の罪深さ
問題の核心は、溝口氏の発言にある。
番組内で彼は「実は高市さんサイドとはコミュニケーションを取らせていただいてて」と語っていた。
この表現はずるいとしか言いようがない。
「公認を得ている」とは言っていない。
でも、まるで総理サイドのお墨付きがあるかのような印象を与えている。
投資家たちがどう受け取るか、分からなかったとは言わせない。
実際、多くの人がこれを「公認」と誤解した。
だからこそ、発行初日にあれほどの資金が集まったのだろう。
総理の否定で75%暴落したという事実が、何より雄弁にそれを物語っている。
溝口氏は謝罪で「発行体および運営側が利益を受け取った事実はない」と強調している。
でも、お金を儲けていないから許されるという話ではない。
現職総理の名前を勝手に商業利用し、結果として多くの投資家に損失を与えた。
その責任は、きわめて重い。
藤井聡教授の「ボランティア」という言い訳の薄っぺらさ
もうひとり、この騒動で名前が挙がっているのが京都大学教授の藤井聡氏だ。
高市総理の政策ブレーンとして知られる人物である。
藤井氏は「ボランティアの形で無償で協力していた」と釈明。
トークンの発行や販売には関与しておらず
アプリ内のインセンティブポイントだと説明を受けていたという。
さらに驚くべきことに、彼はこう認めている。
「高市総理ご本人が本トークンを承認されているとの説明を受けた事実はございません」と。
つまり、総理の承認がないと知りながら協力していたということだ。
これ、おかしくないだろうか。
総理の名前を冠したプロジェクトに参加するなら、まず本人の意向を確認するのが筋ではないか。
「ボランティアだから」「無償だから」で済まされる話ではない。
政策ブレーンという立場にある人間が、この程度の認識でいいのか。
いや、むしろ政策ブレーンだからこそ問題なのだ。
彼が関わっているというだけで、プロジェクトの信頼性は大きく高まる。
その影響力を、軽く見すぎていたとしか思えない。
後援会アカウントも当初はNoBorderの投稿をリポストしていた。
3日になって削除し「正式なポイント制度がスタートしていない段階で暗号資産として発行されていた事実を把握しておらず」と弁明している。
みんな、口を揃えて「知らなかった」「聞いていなかった」と言う。
でも、知らないまま現職総理の名前を使ったプロジェクトを推進していたこと自体が致命的な問題なのだ。
金融庁が調査を検討しているという報道もある。
資金決済法上、仮想通貨の発行には暗号資産交換業者としての登録が必要。
この点も含めて、徹底的に検証されるべきだろう。
わたしたちは今、政治と経済が複雑に絡み合う時代を生きている。
だからこそ、線引きは厳格でなければならない。
総理の名前を使うなら明確な承認を得る。
それができないなら使わない。
当たり前のことが、なぜできなかったのか。
溝口氏と藤井氏には、その答えを社会に示す責任がある。
曖昧な釈明ではなく事実に基づいた説明が待たれる。




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