
17歳の女の子が、海の底に沈んだ。
それなのに学校側が立ち上げた「第三者委員会」のメンバーを見て愕然とした。
3月16日沖縄県名護市の辺野古沖で同志社国際高校の研修旅行中に小型船2隻が転覆。
高校2年生の武石知華さん(17)と、船長の金井創が命を落とした。
生徒12人と乗組員2人の計14人が負傷している。
しかも転覆した船には、引率教員が1人も乗っていなかった。
船は海上運送法の事業登録すらされていない「抗議船」。
救命胴衣の着用も不十分だったと報じられている。
これを「事故」なんて生やさしいことばで片づけていいのだろうか。
限りなく「事件」に近いと感じてしまう。
弁護士3人だけの「第三者委員会」に透明性はあるのか
学校法人同志社は3月28日、第三者委員会の設置を発表した。
メンバーは以下の3名。
委員長:渡辺徹(北浜法律事務所/弁護士)
委員:秋山洋(御堂筋法律事務所/弁護士)
委員:谷明典(北浜法律事務所/弁護士)
ちょっと待ってほしい。
3人中2人が同じ北浜法律事務所の所属である。
通常、第三者委員会は独立性を担保するため全員を別々の事務所から選任するのが基本中の基本。
日弁連のガイドラインでも調査対象との利害関係がないことを厳しく求めている。
同一事務所から2名という時点でこの原則が揺らいでいないか。
さらに気になるのは、全員が弁護士という構成。
海で人が亡くなっている事案だ。
海難事故の専門家や安全管理の有識者を1人も入れないのはあまりに不自然ではないだろうか。
委員長の渡辺徹弁護士は、北浜法律事務所の公式サイトによれば「企業価値を守る」ことを一筋にやってきた会社法のスペシャリスト。
M&A、敵対的買収防衛、企業不祥事対応が専門だという。
つまり企業側の損害を最小限に抑えるプロ。
なるほど、よくわかった。
守りたいのは亡くなった生徒の真実ではなく「学校法人同志社」というブランドなのか。
そう疑われても仕方がない人選だと、わたしは思う。
見えないことだらけの調査設計
この委員会には、もうひとつ致命的な問題がある。
「いつまでに」「どこまでの範囲を」「誰が調査するのか」が何も示されていない。
調査期限の明示なし。
調査対象の範囲も不明。
委員会の権限がどこまで及ぶかもわからない。
報告書を公開するかどうかすら、はっきりしていない。
学校法人の発表では「取りまとめが完了次第、速やかに公表する」とあるがいったいいつ完了するのか。
「速やかに」ほどあてにならないことばもない。
選任プロセスも不透明だ。
どうやってこの3人を選んだのか?
利害関係の具体的な開示もなされていない。
北浜法律事務所のメンバーが同志社の客員教授を務めていたという声もある。
もし事実なら独立性など最初から存在しない。
本来、第三者委員会に求められるのは「独立性・専門性・透明性」の3つ。
いまの段階でそのどれもが怪しい。
わたしが最も心配しているのは法律面だけに焦点をしぼり
「責任や損害賠償をどれだけ減らすか」だけを目的とした調査になること。
遺族が求めているのは娘がなぜ死ななければならなかったのかという真実のはず。
無登録の抗議船に生徒を乗せた経緯。
教員が1人も同乗しなかった理由。
安全確認を怠った責任の所在。
すべてを白日の下にさらす覚悟がこの委員会にあるのだろうか。
逃げ切ることなど到底許されない。
武石知華さんのいのちの重さに正面から向き合う調査を強く求めたい。




コメント